エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
一哉は少し驚いた様子だったが、それが澄夏には意外だった。

(自分の夫の好みを覚えようとするなんて当然だと思うけど)

一哉は澄夏のことをどんな風に思っていたのだろう。ふとそんな疑問が湧く。

「食べていいか?」
「あ、もちろん」

ダイニングテーブル向かい合って座り、食べ始める。

味見をしていて分かっていたけれど、なかなか上手く出来ているなと満足していると、ひと口食べた一哉が顔を輝かせた。

「美味い!」
「あ、ありがとう」

彼がこんな風に食事中に声をあげるのを見るのは初めてだ。

今までも『美味しいよ』と言ってくれたことはあるけれど、落ち着いた様子で微笑みながらと言った感じで、社交辞令のようなものだと思っていたから。

驚いたけれど、嬉しい。作ってよかったと思う。

「どうしたんだ?」

澄夏の食事の手が止まったことに気付いた一哉が眉を上げる。

なんて答えようかと一瞬迷ったけれど、正直になろうと決心したばかりだと思い出した。

「料理を喜んで貰えて嬉しいなと思って」

すると一哉は目を見開いた。

「今まで、言ってなかったか?」
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