エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「美味しいって言ってくれたことはあるけど、気を使ってくれているように見えてたから。今は本当にそう思ってくれているんだって感じたの」

「……そんなつもりはなかった」

彼はショックを受けたように視線を落とした。失礼なことを言ったと澄夏は慌てて取り繕う。

「私がそう思っただけだから。それにこんな風に一緒に夜ご飯を食べる機会が滅多になかったでしょ。だから……」

言いながらはっとした。フォローしたつもりが、一哉がますます暗くなってしまったからだ。

「あの、一哉さん?」

声をかけると彼ははっとしたように澄夏を見る。それから溜息を吐いた。

「どうしたの?」

「俺は駄目な夫だったんだなと再確認していたんだ。仕事ばかりで家庭を顧みなかったよな」

たしかに彼は多忙で、結婚して二年といってもふたりで過ごした時間は少ない方だろう。

けれど官僚とは皆そのようなものだと澄夏だって知っている。

だからいつも夫が不在でも不満はなかったし、仕事だと偽って別のことをしているなどと疑うわけもなかった。

(南雲さんに言われるまで浮気の心配だってしていなかったし)
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