エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
上から物を言うことに慣れているせいか、居丈高なところが目に余る。きっと母にもあんな言い方をしたのだろう。

精神的に負担がかかり、相当体調が悪化しているだろうと心配しながら母の病室に向かう。

広々とした個室。

カーテンを開けた窓からは雨上がりの柔らかな日の光が差し込んでいる。

母は上半身を起こしたベッドにゆったりと座り、穏やかな表情で読書をしていた。
老眼用の眼鏡のレンズの向こうで、忙しく視線が移動している。

随分と本にのめり込んでいるように見えた。

カバーがかかっているのでなんの本かは分からないが、母のこんな姿は久しぶりに見る。

「お母さん」

声をかけると、母はようやく澄夏に気付いた。

「あら」と驚いたような声をあげ、直後笑顔になる。

母は読みかけの本を閉じて、サイドテーブルに置いた。

「いつ帰ってきたの?」
「ついさっき。お母さんの具合が悪化したって聞いたんだけど」

返事をしながらベッド脇の椅子に座る。

「お父さんね。ごめんなさいね、澄夏だって忙しいのに」
「私のことはいいんだけど、本当に大丈夫なの? お父さんからお母さんの様子がおかしかったって聞いたんだけど」
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