エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
両親の様子などをあれこれ聞かれた為予定より時間がかかり、遠縁の家を出た時点で夕方五時を過ぎていた。

駅までの道を歩きながら、スマートフォンを取り出し履歴を確認する。

遠縁との会話中に一哉からメッセージが届いていたようだ。

【帰りは十二時近くになる。先に休んでいて】

澄夏はメッセージを読み終えると顔を曇らせた。

最近は深夜帰宅が続いている。仕方ないこととは言え体調面が心配だ。

彼の仕事は一月に通常国会が開かれると更にハードになる。

国会の中継で見かける野党議員から大臣への質問。
大臣はその場で質問に答えているが、実はあの質問は事前に内容を伝えられており、その答弁をつくるのが一哉たち官僚の仕事なのだ。

質問の内容によって担当する省庁は変わるが、該当すると対応に奔走することになる。

答弁作成とひと言で言うと簡単に聞こえるかもしれないが、場合によっては質問主の議員へのヒアリングをしたり、様々なデータを確認しながら関連部署と連携して答弁を作成し、それを持って大臣との打ち合わせに臨む。
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