エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
大臣は最高責任者であるけれど実務の全てを把握している訳ではないから、詳細の説明が必要になるのだ。

そんな大変な作業がたった一日の間で行われる場合も多く、とてもじゃないが定時に帰宅なんて出来ない。

澄夏は父が議員だったから官僚の忙しさをある程度は分かっていたし、覚悟もしていた。

だけど実際結婚して一哉と暮らしてみると、彼の仕事の拘束時間は予想以上。
結婚二年経っているとはいえ、ふたりで過ごした時間はとても少ないものだった。

でも大きな不満はなかった。大変だけれどやりがいを持って働く夫を応援し支えたいと思っていたから、寂しさにも耐えられた。

【了解です。お仕事頑張って、でも無理しすぎないでください】

一哉に返信をしてから澄夏は一人分のパンを買い自宅マンションに戻った。とても疲れていたので、下ごしらえしていた夕食は明日に回す。

ひとりの部屋で簡単な食事を済ませて、十一時半にはベッドに入った。

しばらく待っていたけれど、十二時を過ぎても一哉は帰ってこなかった。澄夏は寂しさを感じながら目を閉じた。
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