エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
翌朝六時。
隣のベッドには夫の姿があった。彼は深く寝入っているようで、静かな寝息が聞こえてくる。
(いつ帰ってきたのかな)
そっと音を立てないように体を起こし、寝室を出た。
そのままバスルームに行き洗顔とスキンケアをする。髪をゆるく纏めてモカブラウンのルームワンピースに着替え、朝食の準備に取り掛かった。
一哉が昨夜何時頃に夕飯を取ったのかは分からないけれど、長時間の勤務に加えて睡眠不足の為、それ程食欲はないだろう。
あっさりとしたお粥と卵焼きと小鉢を用意する。だいたい準備が終わってから時計に目をやると六時四十分を回ったところだった。
澄夏たち夫婦が住むマンションは、霞が関から電車で約十五分程の駅前にある。
通勤のしやすさとセキュリティの面においてはかなり好条件なこの家には、結婚と同時に入居した。
一哉は通常は朝の九時までに登庁するが、繁忙期は早出をする為、そろそろ起こした方がいいだろう。
寝室のドアを開けると、彼は先ほどと同じ体勢のまま眠っていた。相変わらず寝相がよい。
「一哉さん、六時四十分になったけど」