エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「あれは企業に訪問する途中だった。珍しく時間に余裕があったことと、取りに来たいものがあったから寄ったんだ。南雲さんにはすぐ済むから待っていてと言ったんだが、澄夏に挨拶したいと言われて連れてきてしまった。俺の判断が甘かった」

「それは仕方ないよ。だってあのときは南雲さんを普通の同僚だと思ってたんだから」

「どうしても取りに来なくてはならないものではなかったが、澄夏の様子が気になって……せっかく家に寄れるんだから顔を見たいと思った」

「え……」

思いがけない彼の発言に、澄夏は目を見開く。

「澄夏はずっと塞いでいたし、あの日の朝は特に顔色が悪かったから。大丈夫なのか顔を見て安心したかった」

「私を心配してくれていたの? 知らなかった」

彼はそんなこと、ひと言も言ってなかったから。

「当たり前だろ? でも自己完結しないで言葉に出して伝えていれば、澄夏と別居しなくてよかったかもしれないな」

「……うん」
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