エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない～離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます～

いつもの台詞を口にした。起きなくてはいけない場合は彼はすぐ起きてシャワーを浴びに行く。

まだ寝ていたいときは「あと十分したら起こして」などと澄夏に頼むのだ。

「……おはよう。もうそんな時間？」

少し掠れた声がした。いつもきりっとしている彼が珍しく油断してぼんやりしているのがこの瞬間で、澄夏は密かに気に入っている。

「うん。もう少し寝る？」

「いや、起きる」

彼はむくりと体を起こし、バスルームに向かう。

朝のシャワーはそれ程長くかからないので、すぐに出てくるだろう。

用意しておいた朝食ふたり分をダイニングテーブルに並べる。忙しいときはなかなか夕食を共に出来ない為、朝食が夫婦の会話が出来る貴重な時間だ。

思った通り、彼は時間をかけずに出て来た。

家用のＴシャツにスエットパンツという楽なスタイル。

まだ湿った髪をタオルで拭きながらダイニングテーブルに視線を移した。

「今朝は朝粥か」
「うん、座って」

冷たいお茶を淹れて彼の席に置く。

「いただきます」

お粥が彼の今の気分に合っているのか、食が進んでいるようだ。

「最近ずっと遅いけど、体は大丈夫？」