エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
(やっぱり一哉さんは本心では南雲さんを好きなんだろうな)

それに義母が言っていた件もある。父が落選してからずっと考えていたこと。

(私は一哉さんの妻でいる価値がなくなった)

澄夏だけでなく、義父やその他の人も同じように感じているはずだ。そのことから目を背けてきたけれど。

(これ以上、気付かないふりをしていられない)

澄夏は彼といたいけれど、そのせいで夫を不幸にしては駄目だ。

とはいえすぐに話し合って離婚を申し出る勇気も覚悟もないし、かなり混乱している自覚があるから距離を置いて心を落ち着ける時間が欲しい。
ひとりでゆっくり考えれば、正しい判断が出来そうな気がした。

そして疲弊した心を立て直して冷静に話し合おう。

だけど……離れる前にあと一度だけ。彼と過ごしたこの二年の月日を終える前に足掻いてみたい。

スマートフォンを手にして緊張しながら発信する。また真咲が出たらと思うと不安になる。

けれど一哉も真咲も応答しなかった。

あまりしつこく連絡するのも気が引ける。

(待つしかないな……明日の朝までに一哉さんが帰ってきたら、素直にこの辛い気持ちを伝えてみよう)
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