エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
「ああ、頼む」

彼の茶碗を受け取りご飯をよそう。結婚当初彼は自分で動こうとしたが、澄夏がやりたいと言い続けたからか、最近は躊躇いなく茶碗を渡してくれる。

自分でやるべきだという意見があるのは知っているが、澄夏の場合は彼の世話がしたくて率先している。

(こんなことくらいでしか、自分が彼の妻だって実感出来ないからかな)

一哉は二杯目ももりもりと食し、スープもお代わりをした。沢山食べてくれると作った甲斐がある。

「久しぶりにちゃんとした食事をしたな」

食後のお茶を飲みながら、一哉がしみじみと言う。

「……昨日はどうしたの?」

澄香の言葉に一哉はどこか気まずそう顔をした。

「昨夜は夕方に連絡出来なくて本当に悪かった」

「大丈夫。でも連絡が取れないし事故にあったんじゃないかと心配した」

「本当に怒ってないか?」

澄夏は少し首を傾げた。一哉がこんな風に澄香の機嫌を伺って来るのは珍しい。

(南雲さんとの関係がばれたと心配しているのかな)

真咲と違い彼は恋人の存在を隠したいようだし。

澄香は真咲との関係や昨夜何が有ったのかを知りたいけれど、なかなか言い出せずにいる。
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