エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
一哉の母は地声が大きい為、いつもひと言目は耳が痛くなる。

《メール見たんだけど明日は何時頃に来るの?》

一哉からのクレームはスルーするらしい。母は自分の用件だけ述べてきた。

「十時頃には着くと思う」

《そう。お昼ご飯はうちで食べるわよね?》

「いや、出かけるかもしれないから用意しなくて大丈夫」

澄夏からいつ連絡が来るか分からないが、外で会うなら食事くらいするだろう。彼女がそんな気になれない場合は、一人で済ませればいい。

(食事も嫌がられるとは思いたくないけどな)

《澄夏さんは一緒に来るのよね?》

「いや、俺ひとりだけど」

《そうなの? 澄夏さんに聞きたいことがあったのに。最近電話をしても繋がらないし、心配しているのよ?》

母は澄夏が地元に帰っていると知らないようだ。

「澄夏には俺がついてるんだから心配いらない」

《あなたが頼りないから心配なのよ。岩倉先生が今後どうするかもどうせ聞いていないんでしょ?》

「それは今すぐに聞く必要はないだろう?」

《今すぐってもう半年よ? 未だになにもせず家に引きこもっているっていうじゃない》

母の声には不満が滲んでおり、一哉は溜息を吐きたくなった。
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