エリート官僚は政略妻に淫らな純愛を隠せない~離婚予定でしたが、今日から夫婦をはじめます~
それから鞄から水筒を取り出して飲み始める。

丁寧にボトルの蓋を開ける仕草が上品だ。ただその後、「ふー」と息を吐く様子はちょっと年より臭くて一哉の祖父に似ている。

油断しきった素の様子が意外で可愛いくて面白くて、一哉は思わず笑いそうになる。

(外見も雰囲気も岩倉代議士に全く似てないのな)

そんなことを考えていたら、澄夏がようやくこちらに気付いたようだ。

悲鳴こそ上げなかったものの驚愕して丸い目を更に見開いた。

「え? あ、あの……いつからそこに?」

今更のセリフに吹き出しそうになったが、なんとか堪える。

「俺? はじめからいたけど」

「そうなんですね……すみません、全然気づかなくて変な独り言を言ってしまって……邪魔をしてしまいましたよね」

澄夏はかなり動揺しているようだが、そんな中でも相手を気遣うところは好感が持てた。

(真面目にボランティア活動をしているところといい、優しくていい子なんだな)

「気を遣わなくていいから、のんびりしてろよ。ずっと真面目にゴミ拾いしていたから疲れてるだろうし」

「は、はい。でもどうしてそれを?」
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