クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
***


定刻通り、午後十時に始まった二課の捜査会議は、いつになく白熱した。
俺は大会議室の最前列で、一人分の席を空け、上官の警視監と並んで座った。
列の一番端には、国枝部長もいる。


捜査会議とは、現場で捜査に当たる刑事たちの情報交換、活動報告の場であり、俺たち管理官はただの聞き役、指南役だ。
普段は、会議中一切発言せずに退室することも多い。
しかし、今日ばかりは黙っていられなかった。


「モバイル通信だと判明したため、藤崎凛花の勤務日と一致しなくても問題ない……言葉を返すようだが、それならば彼女じゃなくても可能だ」


三列後方で意気揚々と発言した神田を身を捩って振り返り、報告の穴を追及する。


「メールアドレスやプロトコリの情報さえわかれば、彼女のアドレスを乗っ取り、第三者が自身の端末から送受信できる」


神田がなにをどう主張するか、すべて先回りして反論するだけの準備はある。
カラカラに渇いた喉を潤そうと、俺は卓上のペットボトルを掴んだ。


「昨日任意同行した藤崎凛花は、そんなことができるほどパソコンやインターネットに詳しい所員はいなかったと供述しています。政治家の個人事務所なのに、セキュリティ対策は脆弱でした」


神田がプリントアウトした聴取記録を、顔の横でバサッと音を立てて振り翳した。
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