クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
「凛花」


俺は何故かホッとして、無意識に目元を綻ばせた。
ドアの前に戻り、顎を引いて彼女を見下ろす。


「純平経由で、歩さんから聞いた。その……会いたい、と……うわっ!?」


今まで言われたこともなく、柄にもなく嬉しかった伝言が照れ臭い。
受け取ったまま口にする途中で、俺は彼女に腕を取られ、室内に引っ張り込まれていた。


「え?」


いきなりの行動に困惑して、目を白黒させる。


「来てくれてありがとうございます、奎吾さん」


凛花はなにか警戒しているのか、早口で俺に告げる。
……どうやら、『会いたい』と言われて、浮かれていい用件ではなかったようだ。


「どうした? なにかあったか?」


声を潜めて訊ねると、凛花は見たことがないくらい厳しい表情をした。


「昨夜神田さんに、私が六郎叔父様の事務所でアルバイトしていた時に貸与されたメールアカウントを使って、オンラインゲームやコミュニティーサイトにアクセスしていたと言われました」


硬い口調で詰め寄ってくる彼女に、俺は息をのんだ。


「奎吾さん。私は、業務上横領罪で訴えられたんですか?」


ズバリ直球で問われ、喉仏を上下させる。
< 146 / 213 >

この作品をシェア

pagetop