クールな警視正は新妻を盲愛しすぎている
「血は争えないなあ。似てるのは顔立ちだけかと思ったら、気性も同じか」

「……?」

「一課の瀬名だ。従兄弟だろ、お前の」

「はあ……?」


何故ここで、純平と従兄弟同士だという話が出るのか、理解不能だった。
口元に手を遣ってくっくっと笑う部長を、俺は訝しく見つめた。
国枝部長は笑みを引っ込め、威厳たっぷりに立ち上がる。


「職務離脱は認めん。が、現場合流は許可する」

「は……」

「奥さんの側で、お前が指揮を執れ。桜田門にいなくても、部下の統率は取れるだろう」


机を回り込んで歩いてきて、俺の腕をポンと叩いた。


「すぐ行きたかったろうに、私の登庁を待っていたか。遅くなって悪かったな」

「部長……」


胸に迫るもので、グッと声が詰まる。
腕に置かれた部長の手を見つめ、気を取り直して「はい」と返事をした。
とその時。
俺の上着のポケットから、ブーッブーッと、微妙にずれた唸り音がした。
二つのスマホが同時に振動を始めたことに気付き、即座にスマホを取り出す。
不協和音は、部長にも聞こえたのだろう。


「貸せ」


部長が俺の手から、業務用のスマホを取り上げた。
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