もう一度会えたなら
 午後の陽射しがカーテンの隙間から降り注いでいる。今しがたまで布団の中でゴロゴロしていた。
 忙しない生活から解放された美紀は、こんな時間までパジャマ姿で過ごすこともできるのだ。
 コーヒーメーカーをセットして、カーテンを開ける。ベランダでしばらく放置したままだった多肉植物は、相変わらず元気そうだ。最後に水やりしたのは、確か半月前だった。一度水を与えると半月放ったらかしていても平気なのだ。そして次の水やりの日を健気に待ち続ける。
 人間はそうはいかない。
 そんなことをしているうちに、浮気をされたのだから――。

 観る気もないテレビを付け、ソファーに凭れてぼんやりと窓からの景色を眺める。
 コーヒーをテーブルに置くと、次はファッション雑誌の頁を捲り、そしてまたソファーでうとうとした。

 頬の辺りに温かさを感じて目を覚ますと、もう西日が射し込んでいた。
 美紀は大きな溜め息を吐いた。
 ここ数日、一歩も外に出ていない。
 冷蔵庫の食材が、昨日の夜で底をついていた。

 数日ぶりに化粧をして、散歩も兼ねて駅前のスーパーまで出かけた。
 店内をのんびりとひと回りして、食材を集める。
まだしばらくは『まほろば』には行けそうにないかな、と食パンを手に取りカゴに入れた。
 特売のお米は――今日は歩いて来たからやめておこう。

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