もう一度会えたなら
「俺さぁ、旨そうに飯食って、楽しそうに話す美紀ちゃんすげぇ好きだったし、毎朝改札の前で別れる時に美紀ちゃんが、今日も頑張ってって言ってくれるのが、実は俺の毎日の励みになってたんだよな」

 美紀は胸の奥がきゅっと狭くなるのを感じた。
 海斗が今までそんなことなど微塵も感じさせなかったからだ。

「この前スーパーの前で美紀ちゃんに会えた時、すげぇ嬉しかった。突然会えなくなってずっと心配してて、やっと会えたと思ったらあんな顔見せられて。もう抑えきれなくなって――」

 話を遮るように、突然着信音が鳴り響いた。
 美紀は慌てて鞄からスマホを取り出したが、画面を見て戸惑っていた。その様子に気付いた海斗が、覗きこんで言った。

「元彼だったら出ないで欲しい」

 ブラウスの胸元が波打つ程に、美紀の鼓動が激しくなる。

 ――何でこのタイミングなの。

 少し迷ってから「ごめんね」と言って、美紀は震える指で通話ボタンを押した。

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