秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
アズフィール様にやや居どころ悪そうな様子で問われ、不躾に見つめてしまった無礼を慌てて詫びる。
「ご、ごめんなさい。あんまりにも綺麗だったものだから、ついまじまじと見てしまって」
「綺麗? 俺がか?」
「気を悪くされたなら、本当にごめんなさい」
「別に気を悪くしたりはしていない。……君の目に俺が綺麗と映るなら、俺は嬉しい」
アズフィール様の言葉の途中で、一陣の風が私たちの頬をなでるように吹き抜けていった。たまたまアズフィール様が声を低くしたタイミングに重なってしまい、台詞がうまく聞き取れなかった。
「……えぇっと、『気を悪くしたりはしていない』の続きがよく聞こえなくって。もう一度言ってもらえる?」
「いや。なんでもない」
「そう?」
明らかになにか言っていたと思うのだが、『なんでもない』と言われてしまえばそれ以上の追及もできず、私は小さく首をかしげつつ視線を前に向けた。正門から続く広大な前庭を抜けて、白亜の王宮の重厚な正面玄関が目前に迫っていた。
「ご、ごめんなさい。あんまりにも綺麗だったものだから、ついまじまじと見てしまって」
「綺麗? 俺がか?」
「気を悪くされたなら、本当にごめんなさい」
「別に気を悪くしたりはしていない。……君の目に俺が綺麗と映るなら、俺は嬉しい」
アズフィール様の言葉の途中で、一陣の風が私たちの頬をなでるように吹き抜けていった。たまたまアズフィール様が声を低くしたタイミングに重なってしまい、台詞がうまく聞き取れなかった。
「……えぇっと、『気を悪くしたりはしていない』の続きがよく聞こえなくって。もう一度言ってもらえる?」
「いや。なんでもない」
「そう?」
明らかになにか言っていたと思うのだが、『なんでもない』と言われてしまえばそれ以上の追及もできず、私は小さく首をかしげつつ視線を前に向けた。正門から続く広大な前庭を抜けて、白亜の王宮の重厚な正面玄関が目前に迫っていた。