秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 アズフィール様は、一室の扉の前で足を止めた。扉の近くの飾り棚には、美しく花々が活けられた花瓶が置かれていた。
「さぁ、ここが君の部屋だ」
 アズフィール様が扉を開き、部屋の中へと通された。大きな窓から陽光がいっぱいに注ぐ明るい室内には、天蓋付きの大きなベッドやドレッサー、応接ソファなどが配されて、予想以上に広くて豪華だった。さらに豪華でありながらも全体的に女性的で優美な印象の家具で統一され、王宮内の他の場所とは少し趣が違っているように感じた。
 なんにせよ、私は一介の女官が使うには明らかに分不相応な部屋に驚き、そして気後れした。
「ここが私の部屋……? 嘘でしょう」
「気に入らないか?」
「そんなわけない。でも、こんないい部屋を使わせてもらって本当にいいの? だって、あんまりにも贅沢だわ」
 恐縮する私に、アズフィール様はなぜかホッとした様子をみせた。
「気に入ったならいい。ここは君のための部屋だ。なにか足りない物があれば言ってこい。揃えよう」
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