秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 目に眩しいほどの彼の笑顔が、私を戸惑わせた。なぜかこの日は、束の間の微睡みの中でも、私の心は終始騒がしいままだった。

 王宮にやって来て四日目の朝。
 私は櫛とヘアスプレーを手に、鏡の前に座ったアズフィール様の頭髪を整えていた。
「はい、できたわ。これでどうかしら?」
 最後に両サイドの髪を後ろに流して毛流れを作ると、櫛を置き手鏡に持ち替える。手鏡をアズフィール様の後頭部に翳し、前の鏡に映してバックスタイルの仕上がりを確認してもらう。
「ほう、うまいものだな。これならもし剣戟訓練に誘われても髪が邪魔にならず、スッキリしていい」
 アズフィール様は鏡越しに私を見て、満足げに頷いた。
 アズフィール様が午後から騎士団の視察に向かうことは、事前にスケジュールを確認し把握していた。なんとなく、スッキリ纏めた方がいいだろうと考えて整えてみたのだが、間違っていなかったようだ。
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