秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「俺の公務予定をわざわざ調べていたのか?」
「当たり前じゃない。経緯がどうあれ私はアズフィール様の専属女官を引き受けんだから。役目はちゃんと果たさせてもらうわ」
 専属女官として私が申しつけられた仕事は、意外にも少なかった。朝アズフィール様を起こし、着替えの手伝いと頭髪のセットをして朝食を共に食べること、就寝前に鍼灸マッサージいずれかの施術をすること、必ず行うように言われたのはたったこれだけ。他には、呼ばれてお茶を一緒に飲んだりするくらいだ。
 日中の鍼灸施術のための外出や実家への帰省にはなんら制限がなく、自由だった。
 一点だけ首をかしげたのは『敬語は禁止』という謎の指示だが、出会いが出会いだったのでわりと自然に馴染んでしまった。王子様相手にいいの?と思わなくもないけれど、他ならぬ彼自身がそう言うので、ふたりきりの時は完全にタメ口である。
「……役目、か」
 アズフィール様が低くつぶやく。
「どうかした?」
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