秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 メイジーの町での一件もあるし、王子様がそうそう庶民に交じっての街歩きなんてしない方がいいのでは……? 喉もとまで出かかったけれど、自分自身伯爵令嬢でありながら自由に街を歩きまわっており、言えば藪蛇になりそうな気がしてのみ込んだ。
「それは構わないけれど……」
「よし、決まりだ。馴染みの女将というのは、君が定期的に通っている西通りにある小間物屋の女将のことだろう? 四時に店の前で落ち合おう」
 王子様って、こんなにフットワークが軽くていいのかしら?
 かつて祖父母に連れられて嫌々出向いた社交界で、幾人かの貴公子と会話したこともあった。彼らは皆、貴族であることを誇りとし、平民を下に見ていた。市井に下りて、民と交流するなど論外だろう。ちなみに彼らは、使用人たちへの対応も横柄だった。そんな彼らとは、どうしても話題が合わなかったっけ。
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