秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 ともあれ、事前と事後のカウンセリングなどを省略すれば、許された三十分でギリギリ施術が行える。
「ありがとうございます。では、廊下の角を曲がって一番手前の客間のベッドに、全身裸の状態になってうつ伏せに寝て待っていてください。私も三分後に合流します!」
「なっ!?」
 私の指示に男性は戸惑った声をあげていたが、私は構わずに鍼道具を取りに自室に向かって駆けだした。もしかしたら不審がって逃げてしまうかもしれないが……まぁ、その時はその時だ。
 しかし、心配は杞憂だった。私が鍼道具一式を手に客間に駆け込むと、男性は指示通り全裸の状態でうつ伏せになり、掛布を被って待っていた。
「お待たせしました。さっそく施術をはじめていきます」
「まさか、それを刺すのかね」
 シャーレに並んだ人差し指ほどの長さの鍼をチラリと横目に見て、男性が口もとを引きつらせた。
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