秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 アズフィール様を囲っていた令嬢たちが、不満げに眉を寄せて私を睨みつける。刺々しい視線が肌に痛いほどだが、アズフィール様が私をパートナーに用命したそもそもの目的が令嬢たち除けであるからして、逃げ出すわけにもいかない。
 私は意識的に彼女たちを視界の外に追いやり、一歩分の距離に迫ったアズフィール様に真っ先に謝罪を告げる。
「開始に間に合わなくて、ごめんなさい。わざわざアポロンまで寄越してもらったのに」
 アズフィール様はトンッと一歩分の距離を詰め、私の正面に立った。すると、令嬢たちの突き刺すような眼差しが、ちょうどうまいことアズフィール様の背中に隠れた。
 ……もしかして、わざと遮ってくれた?
「なに、君のことだ。君の施術を求める者たちを無下にできなかったのだろう? こうして来てくれたのだから、それでいい」
「……アズフィール様」
 責めるどころか、アズフィール様は理解ある言葉をかけてくれた。耳にして、胸がジンッと温かくなった。
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