秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「ううん、なんでもない。たしかに右肩が変な張り方をしてるね。さっそくお灸をしていくね」
……ダメダメ!
前世のことは考えたって不毛なだけ。私は既に芽依紗とは別の新しい人生を歩んでる。望み通り、今世を自由気ままに生きていくんだ──!
私は気分を切り替えて祖父の右手を取ると、丁寧に肘掛にのせる。そうして親指と人差し指の付け根に近くにあるツボ〝合谷(ごうこく)〟に、空芯のある植物の茎で作った高さ一センチほどの台座を置く。お灸には直接もぐさを肌に置いて行う直接灸という手法もあるが、私は台座の上でもぐさを燃焼させる台座灸を選んでいる。
「なぁメイサ、前から思っていたんだが、肩の痛みを取るのにどうして直接痛みのない手にも灸をするんだい?」
「経穴……えぇっと、私がお灸を据えているツボのことを言うんだけれど、これって全部繋がっているのよ。だから患部に遠い末端のツボから段々と患部に寄せて処置していくの」
……ダメダメ!
前世のことは考えたって不毛なだけ。私は既に芽依紗とは別の新しい人生を歩んでる。望み通り、今世を自由気ままに生きていくんだ──!
私は気分を切り替えて祖父の右手を取ると、丁寧に肘掛にのせる。そうして親指と人差し指の付け根に近くにあるツボ〝合谷(ごうこく)〟に、空芯のある植物の茎で作った高さ一センチほどの台座を置く。お灸には直接もぐさを肌に置いて行う直接灸という手法もあるが、私は台座の上でもぐさを燃焼させる台座灸を選んでいる。
「なぁメイサ、前から思っていたんだが、肩の痛みを取るのにどうして直接痛みのない手にも灸をするんだい?」
「経穴……えぇっと、私がお灸を据えているツボのことを言うんだけれど、これって全部繋がっているのよ。だから患部に遠い末端のツボから段々と患部に寄せて処置していくの」