秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 文字通り彼女に背中を押された俺は、カミラへと向き直る。その直後、カミラが俺の脇にいたメイサに向かって、半ば飛び掛かるような勢いで食って掛かった。
「馬鹿にして……っ! なにが名門ヴェラムンド伯爵家の令嬢よ! あんたのこと、みんなが陰で噂してるわ。尻軽のあんたの母親がどこの馬の骨とも知れない男との間につくった私生児だって! よくものこのことこんな場所に顔を出せたものだわ!」
 ……っ、ふざけるなっ!!
 俺はメイサへの侮辱に憤怒し、両の拳を握りしめて口を開きかけた。しかし、俺が声を発する直前でメイサが制し、静かな口調で語りだす。
「それって、なにかいけない? 私の戸籍の父の欄はたしかに空白よ。あなたの言うところの『私生児』という表現にも当て嵌まる。でも、数年前の法改正で、女性にも家督相続が認められるようになった今、私は王国法に基づく正式なヴェラムンド伯爵家の嫡子だわ。もし私が社交の場に参加するのに、なにか差し障りがあるなら教えてちょうだい」
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