秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 メイサは怒るでもなく、整然と問いかけた。その圧倒的な気品と存在感に、会場中が息をのんだ。メイサには卑屈さが一切なく、どこまでも気高く、透き通るように高潔だった。
 凛とした彼女の横顔に、俺はさっきまでの怒りも忘れただただ見惚れた。
「よくも開き直って……っ、この恥知らず! お父様に言いつけてやるんだから……!」
 カミラは真っ赤な顔でわなわなと唇を震わせて叫び、逃げるように駆けていく。
 彼女の捨て台詞が、シンッと静まり返った会場内に虚しく響く。この場で今、最も恥知らずなのは誰か……そんなのは誰の目にも火を見るより明らか。カミラはそのまま、バタバタと会場を出ていった。
「皆、騒がせてしまってすまなかった。夜会の続きを楽しんでくれ」
 俺は会場内に向けて告げ、楽団に円舞曲の開始を指示した。
 楽団が音楽を奏でだすと各々ダンスを再開し、それに伴ってピリピリした周囲の雰囲気は徐々に落ち着き、和やかな夜会の夜が戻ってくる。
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