秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「ふふっ、なんでもないの。それより、立太子の礼が楽しみね。お姉様が成功を願う式典の花火もさぞ、美しいんでしょうね」
「……なにやら、今日の君の話は突拍子がなくてついていけんな」
 アズフィール様はやれやれと、ため息をついた。
 対する私は、午前中からどことなくもやもやした気持ちが晴れなかったのだが、今は胸のつかえが取れたようにホッとしていた。ほんの少しチリッとする違和感のようなものが引っかかっている気もしたけれど、きっと気のせいに違いない。
「アズフィール様。私はこれで失礼します。おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
 お灸の道具一式を鞄に詰め終えると、私はアズフィール様に就寝の挨拶をして退室する。
「……そうだ、メイサ」
 扉を閉める直前で、アズフィール様に声をかけられて振り返る。
「明日の夕方は、なにか予定があるか?」
「ええ。街の人にお灸の施術をお願いされているわ」
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