秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 ふたりは息もピッタリだった。
「とにかく、メイサ。そういうわけだ。こいつにも施術してやってくれ」
「ぜひ、お願いします。……あぁ、それからメイサ嬢。私相手に堅苦しくする必要はありません。いつもアズフィールとしているように、自然にしていてくれて構わないよ」
「わかりました。善処します」
 これには苦笑して頷いた。貴公子然としたヴァーデン王子はアズフィール様よりも口調が丁寧だから、私もつられるようにアズフィール様とふたりきりの時よりも丁寧なしゃべり口になってしまう。
 アズフィール様に敬語は禁止と言われた時よりも、これはハードルが高そうだ。
「ヴァーデン王子はどこか、体で辛い個所などありますか?」
 ひとまず三人で応接テーブルを囲って座り、私はヴァーデン王子に簡単な問診を開始した。
「ない」
「えぇっと……」
 即答され、苦笑が浮かぶ。
「メイサ、こいつには大叔母様と同じアレがいい」
「あ、美容鍼ね」
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