秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 ふたりの関係を微笑ましく思いながら尋ねた。
「ああ。俺はウォールド王国の学院に留学していた時期があってな、ヴァーデンとは同級だったんだ。学院の休暇を使い、供を撒いてふたりきりで旅をした」
「……うわぁ。それって撒かれちゃったお供の人たち、生きた心地がしなかったでしょうね」
 思わず漏れた私の正直な感想に、ヴァーデン王子はヒョイと肩を竦めてみせる。
「なに、ふたりきりだったのは実質一泊です。我が国では、空の飛行にはドラゴンよりも天馬が主流なんです。あの時はアズフィールのアポロンにふたり乗りで出かけたのですが、キラキラしい金色で目立ちまくってくれたおかげで二日目には見つかってしまい、遠巻きに供を引き連れての旅になりました」
 ヴァーデン王子は、アズフィール様に恨みがましい目を向けて、ヤレヤレと口にした。
「あら! そうだったの」
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