秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 施術後に問うと、ヴァーデン王子は率直な感想を口にした。
「ふふっ、そうですね。ヴァーデン王子はお若いし、もともと皺やたるみなどもありません。効果は微少で、目に見えて実感できるほどの変化はないかもしれませんね」
「ふむ。だが、最初のマッサージは気持ちよかったし、鍼を打つ君の手技は巧みで、受けていて心地いいと感じた。それと、これは感覚的なのだが、心なしか肌が生き生きしたような気がしている」
「ありがとうございます! 最高の誉め言葉です」
「メイサ、鍼の残りはまだあるのか?」
 私が使用済みの鍼を纏めていると、脇からアズフィール様が尋ねた。
 今使用した美容鍼は、顔への施術により特化した細さと長さ、刺し心地の滑らかさを追求し、先日ブロームに依頼して作ってもらったものだ。おいおい追加で作ってもらうつもりだが、今は本数にあまり余裕がなく、もうひとり分の本数は確保できなかった。
「美容鍼は余剰がないけど、通常の鍼ならあるわ」
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