秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「へー。エイル神殿って、エイル神聖王国の北西の密林地帯にあったよな。……たしか、何百年も前に使われなくなって、今じゃ神官も置いてないんじゃなかったか?」
「あぁ、そうだ。北西の密林地帯にはかつては小さな集落があり、人々が暮らしていた。だが、集落がなくなって人がいなくなり、神殿もその機能を失った。今では建国に関わる重要な歴史遺産という位置づけで、周囲は動物たちの王国と化している。五日後、早朝からエイル神殿に向け、ひとりで出発する予定だ」
 ヴァーデン王子の問いに、上半身裸になったアズフィール様が、ベッドに横になりながら答えた。
「なんだって、これから王太子になろうって者が、わざわざそんな僻地の神殿に行くんだ? しかも、供も連れずにって、正気か?」
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