秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「はははっ。実を言うと、その点は少し理解を持ち過ぎたと反省しているところだ。もう少し淑やかに育てられたら、私の孫育ては満点だったのだがな」
「ふふふっ」
そこからは、とりとめのない雑談をして、祖父は会議の時間を前に席を立った。
「おっと、そろそろ時間だな」
「また実家の方にも顔を出すわね。お祖母ちゃんにもよろしく」
「あぁ、待っているよ。それじゃあな」
「うん、いってらっしゃい」
部屋の外まで祖父を見送って、その背中が見えなくなってから、私はホゥッと小さく息ついた。
……実の父親のことが、まったく気にならないと言ったら嘘になる。
でも、聞かなかったことに後悔はない。
私にとって自分のルーツはさして問題ではないのだ。大好きなお祖父ちゃんとお祖母ちゃんがいて、幸せな今がある。それだけでいい──。
なんとなくそのまま部屋に戻る気になれず、私は廊下へと踏み出した。
……少し、散歩でもしてこよう。
私はグッとひとつ伸びをして、東の庭を目指した。
「ふふふっ」
そこからは、とりとめのない雑談をして、祖父は会議の時間を前に席を立った。
「おっと、そろそろ時間だな」
「また実家の方にも顔を出すわね。お祖母ちゃんにもよろしく」
「あぁ、待っているよ。それじゃあな」
「うん、いってらっしゃい」
部屋の外まで祖父を見送って、その背中が見えなくなってから、私はホゥッと小さく息ついた。
……実の父親のことが、まったく気にならないと言ったら嘘になる。
でも、聞かなかったことに後悔はない。
私にとって自分のルーツはさして問題ではないのだ。大好きなお祖父ちゃんとお祖母ちゃんがいて、幸せな今がある。それだけでいい──。
なんとなくそのまま部屋に戻る気になれず、私は廊下へと踏み出した。
……少し、散歩でもしてこよう。
私はグッとひとつ伸びをして、東の庭を目指した。