秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「イザベラ様。鬱屈と木々が茂る密林内は、剣戟の試合会場とは違います。その筋に精通した暗殺者を前に、正攻法の剣技は助けとはなりません。なにより暗殺者たちには、こちらが事前に入手した通行ルートを渡してあります。彼らに挟み撃ちにされたら、まず逃げることは不可能です」
「そう、ならば今日こそ果報が聞けそうね! ……ふふっ、ふふふふふっ!」
 っ! なんてことだ、このままではアズフィール様が危ない……っ!!
 耳にした瞬間、私は縺れそうになる足を叱咤して駆け出していた。
「……あぁ、どんなにかこの日を待ち望んだことか。アズフィールが消えてくれないことには、なにも始まらない。でも、これでやっとすべてが動き出す。私の頭上に王冠を戴く日も遠くないわ」
 背中にイザベラ様のうっとりとしたつぶやきが聞こえたような気もしたけれど、今後を思案する私の胸には響いてこなかった。
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