秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 そのくらいの年頃の性差など、まだあってないようなもの。肩に下ろした長い髪と可愛らしい顔を見て、私が先入観でそう思い込んでいただけだ。最近はあまり見ないけど、昔からの風習を重んじて男児の髪を伸ばしている家も稀にある。
 しかも、自分がズボン姿だったから違和感がなかったが、よくよく考えてみると、ズボンを穿く女の子なんてそうそういやしないのだ。
「もしかして、あの時の女の子ってアズフィール様!?」
「まさか、あの時の少年は君か!?」
 私の声とアズフィール様の声がピタリと重なった。どうやらアズフィール様も私と似たような想像を巡らせていたらしい。
 私たちはお互いに目を見開いて見つめ合い、現在の姿に当時の面影を探した。
 ……あぁ、間違いない。
 見れば見るほど、あの時の少女はアズフィール様だったのだと、確信が深まっていった。
「なんだなんだ? ふたりは以前からの知り合いだったのかい?」
 これまで私たちの様子を黙って見守っていたヴァーデン王子が声をあげた。
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