秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「ああ! どうやら俺たちは、そうと知らぬまま出会っていたようだ。幼いメイサたちと過ごしたあの時間は、俺にとって宝物だった。そしてあの時の出会いが、俺のその後を大きく変える契機になった」
 アズフィール様の台詞に籠もる熱量の高さに、私の胸にも熱が灯った。
「あれは、アズフィール様だったのね。長い髪と可愛らしい顔だちから、てっきり女の子だと思っていたわ」
「俺は少年だとばかり思っていた。……まさか、年頃に差し掛かった貴族の少女が、短髪にズボンの姿でいようとは想像できなかった。さらにその子はドラゴンを乗り回し、立ち入り禁止の場所を我が物顔で練り歩いていたんだからな。……そうだったのか、あれは君だったんだな」
「ええっと、当時は少しばかり活発だったのよ」
 しみじみと言われてしまった私は、居心地悪くちょっと早口で答えた。
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