秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官（※その実態はお妃候補）に任命されました！

　私はメイジーの町で乗合馬車を降りた。大通りの右側は、煙突のついた三角屋根の可愛らしい家々や商店が建ち並ぶ町人らの居住エリア。左側は、町の名前にもなっているメイジー湖の水面が陽光を受け、キラキラと輝いていた。
「わぁ！　綺麗ね」
　祖父母と共に以前にも訪れたことがあったが、ここは本当に景観が美しい。私はキラキラとまぶしいメイジー湖に目を細めながら、通りに沿って歩きだした。
　十分ほど歩くと、真っ白な塗り壁の建物が見えてきた。
「ええっと、養老院は大通り沿いに一キロくらい歩いたところって言っていたから……あ！　きっとあの建物だわ」
　広い庭を有した二階建ての養老院は、各部屋に大きな長窓とバルコニーを備え、開放感があった。
　玄関ロビーに向かっていると、屋外に面した一階の広々としたテラスで数人の高齢者が思い思いに寛いでいるのが見えた。
　……ここは、セカンドライフをゆっくりと過ごすには素晴らしい場所ね。