秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「はははっ、それはありがたい。アズフィール、必ず聖水を取り戻して来いよ!」
 アポロンの背に乗りあがるアズフィール様に、ヴァーデン王子は鼓舞するように告げて、ひとり大広間へと戻っていった。
「アズフィール様、お願い! 私も一緒に行かせて!」
 私は、今まさに飛び立とうとしているアズフィール様に叫んだ。
「いいだろう! 来い、メイサ!」
 背上から伸ばされたアズフィール様の腕を掴むと、グンッと引き上げられた。
 奪われた聖水を取り戻すため、私はアズフィール様と共にアポロンに乗り、空へと舞い上がった。

 アポロンの飛行に迷いはない。アズフィール様の読み通り、アポロンは聖水の在処を把握しているようだった。
 そうしてアポロンは、王都の外れ──貧民街の上空で飛行を止めた。
 なぜ、こんな場所に……? 最初に感じたのは純粋な疑問。アズフィール様も同様に、眉間に皺を寄せて怪訝そうだった。
「ここに聖水があるのか?」
「ギュァ」
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