秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 アズフィール様の訝しげなつぶやきに、アポロンは前足の爪で壁が傾き、今にも崩れそうな建物を示しながら嘶いた。
「……あの建物か!」
「アズフィール様、とりあえず降りてみましょう」
「よし、どこか近くにアポロンを降下させよう。少し西に行った先に丘があったはずだ」
 ここら辺は細い路地が迷路のように入り組んでおり、アポロンを下ろせるような拓けた場所はない。
「アポロン、西に──」
「待って、アズフィール様! 今は丘まで行く時間が惜しいわ。このまま降りましょう!」
「おい!?」
 アズフィール様がギョッとした様子で声をあげた。
「アポロン、ギリギリまで高度と下げて尾っぽを下ろしてもらえるかしら?」
「ギュァ」
 尾っぽを伝っての乗降は、夜会の日に迎えに来てもらった時もお願いしているから、これで二回目。アポロンは慣れた様子で高度を下げ、地面に向けて降りやすい角度に尾っぽを下げてくれた。
「ありがとう、アポロン! アズフィール様、先に降りるわね」
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