秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 アズフィール様は鷹揚に頷いて、トンッと一歩前へと踏み出した。
「よかろう。其方にも、いろいろと事情があったのだろう。それを返せば、そなたの罪はすべて不問としよう」
 アズフィール様がさらに一歩前に進み、瓶を受け取ろうと腕を伸ばす。
「おっと。それ以上お近づきになりませんよう。手もとが狂って、中を空けてしまうやもしれません」
 セルジュはフッと口角を上げて微笑み、これ見よがしに左手で栓を抜き、瓶を傾けてみせた。
 アズフィール様はその場でピタリと足を止め、静かに問う。
「俺は其方に破格の提案をしたつもりだ。この上、なにが望みだ?」
「殿下。きっと、あなたに私の気持ちは永遠にわからない。あなたと私は同じ人間でありながら、その価値には天地ほどの差がある。そしてイザベラ様と私の差も、また同じ。私は永遠に、イザベラ様の隣には並べない。しかし、イザベラ様の後ろに付き従うことだけはできる。そして私は、この場所を誰にも譲る気はないのです」
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