秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 アズフィール様は、よくわからないという顔をした。
 セルジュはさらに言葉を続ける。
「ところで殿下は、ここがどういう場所かご存知ですか?」
「最初は集合住宅かと思ったのだが、子供の数がいやに多い。子供を預かって養育する施設かなにかか」
「ご名答です。とは言っても、ここは届け出のある正式な孤児院ではない。もとは空き家で、行き場のない子供らが集まってここを拠点とし、スリや盗みなどで食つなぐようになった。ここは掃き溜めのような場所でした」
「……今は、其方が支援をしているのか?」
 朽ちかけた家屋はそのまま。しかし、奥からは子供らの笑い声が聞こえるし、小麦を練って焼いたと思しき香ばしい匂いが残っている。セルジュが告げた、『スリや盗みなどで食つなぐ』とはやや乖離した暮らしぶりが想像できた。
「はい。僅かですが礼金を包み、近所の老婆に子供らの世話を頼んでいます。ただし、その老婆も高齢でそろそろ限界に差し掛かっている」
< 273 / 340 >

この作品をシェア

pagetop