秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 尾っぽを伝いながら、アズフィール様がぽつりとこぼした。
「え?」
 ここでブロームの名前が出てきたことに首をかしげつつ、私もアズフィール様に続いて尾っぽを上る。途中で、先に背中まで上り切ったアズフィール様にグッと引き上げられて、私もアポロンの背中に跨る。
 私たちが乗ったのを確認すると、アポロンは王宮に龍首を定め、翼をはためかせた。
「ねぇアズフィール様、さっきブロームって言っていなかった? ブロームがどうかしたの?」
 アポロンの背上で風を切りながら、アズフィール様に尋ねた。
「いや、なんでもない。こうして無事、聖水を取り戻せてよかった。姉上に心を奪われた奴が、姉上の望み通り王位に就かせようと行動しなかったのは、不幸中の幸いだったな」
「そうね。セルジュが良心のある男性で本当によかったわ」
「……良心?」
 私の言葉に、アズフィール様は首を捻った。
「私、なにかおかしいことを言った?」
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