秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
「それは、アズフィール様の実体験なの?」
「そうだな。俺自身、そんな狂おしい愛に日々胸を焼かれていたからな」
「……そう」
 アズフィール様の激情に触れて、そわそわと落ち着かない思いがした。同時に、アズフィール様がそんな感情を抱いた相手の存在が気になって仕方なかった。
 ……アズフィール様は『日々胸を焼かれていた』と過去形で語った。アズフィール様の恋はもう、終わったものなのだろうか?
 そうこうしているうちに、王宮が目の前に迫っていた。
「メイサ、このまま大広間のバルコニーに乗り付けるぞ!」
 二階にある大広間は王宮前庭に面していて、眼下を展望できる広いバルコニーを有している。サイズ的にはおそらくいけるだろうが……。
「まさか、アポロンをバルコニーに着地させる気!?」
「ああ! アポロン、王宮のバルコニーに降りる。ゆっくり高度を落としてくれ!」
 言うが早いか、アズフィール様は巧みにアポロンを誘導し、正門の上を悠々と越えて前庭をゆっくりと旋回させた。
< 284 / 340 >

この作品をシェア

pagetop