秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 ドンッという衝撃があった。すべては一瞬の出来事で、なにが起こったのか瞬時に理解が追いつかなかった。
「きゃぁああっ!」
「メイサっ!!」
 私はイザベラ様の体当たりを受け、突き飛ばされるような格好でベランダの手すりから落下した……かに思えた。だけど直前で、アズフィール様が上から私の手首を掴んでいた。
「アズフィール様……!」
 アズフィール様は左手で手すりを掴み、ベランダの外に右半身を乗り出すようにして、右手で私の手首を取っていた。
 私は危機一髪で落下を免れ、アズフィール様に掴まれた腕一本で宙にぶら下がっていた。二階とはいえ、ここは広い空間設計で作られた王宮だ。チラリと見下ろした地面はかなり遠く、恐怖でクラリと目眩がした。
 っ! 私はすぐに目線を頭上に戻した。
「メイサ、引き上げるぞ!」
 アズフィール様が握った手に力を籠める。だけどアズフィール様が引き上げるより前、彼の後ろにヌラリと人影が浮かぶ。
「だめっ! アズフィール様、逃げて!!」
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