秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 私が声をあげたのとほぼ同時、イザベラ様が転がっていた花瓶を掴んで、アズフィール様の頭上に振り下ろす。
 陶器と頭がぶつかって鈍い音が響くが、アズフィール様は私の手を掴んだまま離そうとしない。
「アズフィール様、お願い離して!!」
「ッ! 離すものか、……君のことは絶対に俺が守る!」
 必死に訴える私に、アズフィール様は断固として叫ぶ。
 この瞬間に覚えるにはあまりにも不謹慎な感情だと百も承知だ。だけど、彼の言葉に喜びを感じている自分がいた。
「あはっ、あははははっ! 逃げないのね!? いいわ、なんて面白いの! 今度こそ死ね、アズフィール!!」
 イザベラ様は花瓶をひと際大きく振りかぶり、無防備なアズフィール様の頭上に再び叩きつける。
 ところが、イザベラ様が力みすぎたせいか、花瓶のあたりどころがずれた。
「いやぁああ!」
 ──ガッシャーンッ。
 花瓶はアズフィール様の側頭部──彼がつけていたサークレットの金属部分に直撃して割れ、細かな破片となって落ちた。
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