秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 アズフィール様が大きな声をあげるが、その口ぶりはやはり普段の彼とは異なる。アズフィール様の様子は、明らかにおかしかった。
「アズフィール様! このままじゃあなたが危ない! お願い、手を解いて!」
 イザベラ様の手がアズフィール様の首を圧迫するのを見て、私もまた叫んでいた。女の細腕ではたして扼殺がなせるのかはわからない。だが、アズフィール様の左手がわずかにでも緩めば、彼まで転落してしまう! そんな事態だけは、絶対にあってはならない!
「いやだっ、爪が痛いよ! 苦しいっ」
 ……え、待って!? これって以前、夢にうなされていたアズフィール様が叫んでいたのと同じ……!!
「お前はもともと、生まれてこなければよかった子なの。大丈夫よ、これで無に帰れるわ」
「っ、アズフィール様! このままじゃ、あなたが死んじゃうから!!」
 私は必死に叫んだが、アズフィール様は私の手を離そうとしない。
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