秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 イザベラ様はグッと前に身を乗り出し、体重をかけて掴んだ両手でアズフィール様の首を絞め上げる。
「死ね、アズフィール」
「……イザベラ姉様、やめてぇええっ──」
「お願い、手を離してっ!!」
 三人の声が重なった。その時──。
「イザベラ様! おやめください!」
 この声は、セルジュ……!?
「離しなさい、セルジュ! 邪魔をしないで!」
「いいえ! あなた様にこれ以上罪を重ねさせるわけにはいきません!」
 ベランダにセルジュが飛び込んできて、イザベラ様と激しいもみ合いになった。三つの人影が雑多に蠢き、見上げても私の位置からは状況がよくわからない。
「……あっ?」
 繋がれたアズフィール様の手を通して、大きな衝撃を感じた。
 直後、アズフィール様に握られた手はそのままに、体の位置がズルリと下がった。体がふわりと宙に飛び、浮遊感を覚えたのはほんの一瞬で、すぐに全身に猛烈な重力を感じた。
「……メイサ!」
「きゃああああ──」
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