秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
 頭上に、私に覆い被さるように落ちてくるアズフィール様の人影を認めた。
 あぁ、アズフィール様まで一緒に落ちてしまった。どうか彼だけでも無事で──!
 辛くも現状を理解して、祈るような思いでギュッと瞼を閉じた。地面に叩きつけられる直前、アズフィール様に握られたままの左手首を引かれ、広い胸に抱き込まれた。
 ドスンという打撃を感じたのが最後。意識は、真っ黒闇にのまれるように途切れた──。

「メイサ。……メイサ」
 ……ん? 呼ばれている?
 誰かに名前を呼ばれているのに気づき、私は重たい瞼をゆっくりと持ち上げる。
 ……えっ?
「よかったわ! 目が覚めたのね!」
 お祖母ちゃんとお祖父ちゃん……?
 開いた視界に飛び込んできたのは、祖父母だった。なぜかふたりは顔をくしゃくしゃにして涙を流していた。
「すぐにドクドール先生を呼んでこよう!」
 祖父が慌ただしく部屋を飛び出していく。
 私は状況が理解できず、パチパチと目を瞬いた。
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