秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
息をのむ美しさの男性にしばし見入っていた私だったが、ハッとして力の入らない両足を叱咤して立ち上がった。手早く手のひらから鍼を抜くと、男性のシャツを鋏で裁断して負傷した左肩を露出させ、消毒から処置を始めた。
こちらは広く皮膚が裂けているせいで見た目の出血が多い。夫婦や他のスタッフたちも、男性がぐったりしていたのはこの傷からの出血によるものと疑っていなかった。けれど、ザッと見た限り、傷は骨や筋には至っていなそうだ。
これならば医師の到着後にきちんと治療してもらえば、多少の傷跡は残るかもしれないが自然に治るだろう。私は最後に清潔なさらし布で傷を固定して、前世の講習で習った通りにひと通りの処置を終えた。
──コンコン。
ノックの後、部屋の外からしびれを切らしたご主人に声をかけられる。
「まだ応急処置は終わらないのかい? そろそろ入ってもいいだろうか?」
……よかった! なんとか無事に間に合った!
「どうぞ入ってください。応急処置は今、終わりました」
こちらは広く皮膚が裂けているせいで見た目の出血が多い。夫婦や他のスタッフたちも、男性がぐったりしていたのはこの傷からの出血によるものと疑っていなかった。けれど、ザッと見た限り、傷は骨や筋には至っていなそうだ。
これならば医師の到着後にきちんと治療してもらえば、多少の傷跡は残るかもしれないが自然に治るだろう。私は最後に清潔なさらし布で傷を固定して、前世の講習で習った通りにひと通りの処置を終えた。
──コンコン。
ノックの後、部屋の外からしびれを切らしたご主人に声をかけられる。
「まだ応急処置は終わらないのかい? そろそろ入ってもいいだろうか?」
……よかった! なんとか無事に間に合った!
「どうぞ入ってください。応急処置は今、終わりました」