秘密の癒しチートがバレたら、女嫌い王太子の専属女官(※その実態はお妃候補)に任命されました!
俺の叫びを聞いた夫婦は走りだそうとしたが、頭上に迫る落石を見た夫人は間に合わないと思ったのか、膨らみ始めたばかりの腹を庇った。横にいた夫は、咄嗟に夫人の上に覆い被さった。
それを見たら、考えるより先に体が勝手に動いていた。渾身の力でふたりを担ぎ上げ、すんでのところで道向こうへと押しやった。だが、俺自身は避けきれず、左半身にもろに落石を食らってしまった。
臓腑にこれまでに覚えたことのない衝撃と燃えるような熱さを感じた。
……あぁ、もう助からない。
俺は落石を受けた瞬間に、本能的に悟った。
崩落で宿への道は塞がっていた。無事だった夫は、俺を担いで迷わず町の方へと来た道を戻り、町唯一の医者に向かった。しかし不幸にも、医者は不在だった。
この辺りから、俺の記憶は曖昧だった。
町医者を後にした夫婦は一縷の望みを託し、どこかの施設に駆け込んだようだった。
それを見たら、考えるより先に体が勝手に動いていた。渾身の力でふたりを担ぎ上げ、すんでのところで道向こうへと押しやった。だが、俺自身は避けきれず、左半身にもろに落石を食らってしまった。
臓腑にこれまでに覚えたことのない衝撃と燃えるような熱さを感じた。
……あぁ、もう助からない。
俺は落石を受けた瞬間に、本能的に悟った。
崩落で宿への道は塞がっていた。無事だった夫は、俺を担いで迷わず町の方へと来た道を戻り、町唯一の医者に向かった。しかし不幸にも、医者は不在だった。
この辺りから、俺の記憶は曖昧だった。
町医者を後にした夫婦は一縷の望みを託し、どこかの施設に駆け込んだようだった。